退職する社員に対して、今後の社会保険に関してアドバイスするとしたらどのようなことをすればいいでしょうか。想定される具体例で教えてください。
退職者へのアドバイスとして、任意継続被保険者となるか健康保険の被保険者の資格を喪失して国民健康保険に加入するかといった内容のものがあると思います。今回の法改正で負担割合が3割となったことに伴い、退職者個人の状況により判断しなければならなくなりました。いくつかの事例を紹介します。
事例1)任意継続被保険者と国民健康保険の保険料を比較して差があまりない場合
任意継続被保険者となる方が良いでしょう。その期間中に傷病手当金の支給事由に該当すれば任意継続被保険者の資格が喪失しても最大で支給開始から1年6ヶ月間受給可能です。原則として、傷病手当金は国民健康保険からは支給されません。
事例2)退職者の標準報酬月額が高額の場合
国民健康保険の保険料が任意継続被保険者の保険料を上回る場合があると考えられます。そうであれば任意継続被保険者となることをお薦めします。
事例3)退職者の標準報酬月額が高額で傷病手当金を受給している場合
傷病手当金は金額に上限が設定されていません。よって、高額給与取得者の場合にはそれに対応する額の傷病手当金が支給されることになります。任意継続被保険者の保険料の計算は、全国給与平均(現在28万円)と退職者の退職前の標準報酬月額を比べていずれか低い額を基準となる給与とみなして行われます。
この者が退職して任意継続被保険者となった場合には、全国給与平均(現在28万円)が給与額になると考えられるため、退職後に継続受給する傷病手当金の額も全国給与平均(現在28万円)で計算し直されて受給額が減額すると予想されます。これに対し国民健康保険に加入した場合は健康保険の資格喪失後の給付として現状の金額の傷病手当金を継続受給することができますが、保険料は前年所得で計算されるため任意継続被保険者となった場合と比べて高くなると予想されます。
よって退職後の保険の選択は、任意継続被保険者となる場合と国民健康保険に加入した場合の、今後2年間(任意継続被保険者となれるのは2年間です)の傷病手当金の総受給金額と保険料の総支払金額をシミュレーションしてから判断するしかないでしょう。
事例4)退職者が妊婦の場合
退職後6ヶ月以内に出産することが明確な場合には、資格喪失後の給付として出産手当金がその者に支給されますので任意継続被保険者となる必要はないでしょう。但し、出産日が6ヶ月を1日でも過ぎれば同手当金は支給されません。出産予定日が退職後6ヶ月前後の場合は任意継続被保険者となっておいた方が良いでしょう。
任意継続被保険者には中途脱退制度はありません。保険料を一回でも滞納すると強制脱退となります。途中から国民健康保険に加入したい或いはご主人の健康保険の扶養家族になりたい場合にはそのような方法があります。


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